アートに新しい視点を!コペンハーゲン ニュー・カールスバーグ美術館が教えてくれたこと
実は全く期待せずに訪れたニュー・カールスバーグ美術館でしたが、今も思い出すと、心の中にぽっと明かりが灯るような、ほんわかした幸せな気持ちにさせてくれる美術館です。
何にそこまで感動したのか。どんなことが心に残っているのか。
その理由をぜひのぞいてみてください。
※本記事(主に写真)は2011年7月に訪れた当時の内容です。Meの美術館訪問の軌跡を残したいことと、これから旅を考えている方の参考になればと思っています。再度訪問した際は、内容をリバイスする予定です。最新の情報は、公式サイトなどでご確認ください。
ニュー・カールスバーグ美術館とは
ニュー・カールスバーグ美術館の正式名称は、「ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館(デンマーク語: Ny Carlsberg Glyptotek)」。なかなか長くて呼びづらいので、英語読みの方が親しみやすいですよね。
カールスバーグ社の創始者であるJ. C. ヤコブセンの息子で、情熱的なコレクターだったカール・ヤコブセンが集めたコレクションを中心に収蔵しています。資金源はもちろんカールスバーグのビール! 生み出された利益を元に豊富なコレクションを築いたそうです。
古代エジプトやギリシャ、ローマ、エトルリア文化などの考古学的古美術品と19世紀のデンマークとフランスの芸術作品で構成され、モネ、ルソー、クールベ、セザンヌ、ドガ、ゴーギャンなどの印象派の作品も楽しむことができます。
1888年にコレクションを収めるために建築を始め、1897年に開館。その後も建物は拡張され、3名の建築家の名が刻まれています。
入館料 | 大人:115DKK 27歳未満/有効な学生IDを持つ学生:85DKK、18歳未満:無料 火曜日:無料 |
開館時間 | 火曜日-日曜日10時-17時、木曜日10時- 21時(休館:月曜日) |
住所 | Dantes Plads 7 1556 Copenhagen |
カール・ヤコブセンの思いが今も息づく
カール・ヤコブセンの信念。それは「芸術は、あらゆる人の生活を美しくし、感動させ、豊かにするものである」というもの。「芸術が歩んだ6000年間を通して、人間の存在、文化、文明への新しい視点を提供し続ける」という美術館そのものが、今もカール・ヤコブセンの精神を体現し続けています。
当時感じた「他の美術館にはないような展示や新しい発見がある」と感じていたのは、「こういうことなのか!」と調べてみて、点と点がつながった気分です。
この美術館を訪れてから、壁の色が彫刻にもたらすイメージ、そして写真に撮った時の面白さを教えてもらいました。自分の好きなアングルを見つけて写真に収めること。それ自体が時空を超えたアートのコラボレーションなんですよね。
これなんだか分かりますか?
大理石などでできた古代の彫刻は、鼻や耳が落ちやすいのだとか。出っぱっているので、どうしても欠けやすいんでしょうね。古美術品として価値を高めるために、欠けた部分に違う彫刻の鼻や耳を付けて売っていたそう。その間違った鼻や耳を取り外し、集めたものがこの展示です。もちろん初めて知ったのですが、面白い!
そうきたか! エジプト考古学の世界
続いて進むのは、エジプト考古学のエリア。向かって左側の扉を開くと…
地下へ降りる薄暗い階段。ルーブル美術館の「サモトラケのニケ」に向かう廊下のようなドラマチックな演出に、ワクワクしてしまいます。
その先には古代エジプトの棺が。地下に設けられた展示は、エジプトの遺跡の中に潜り込んでいるような感覚になります。
人だけではなく、ミイラになった動物も展示されています。
その中でも、この展示が大好きなんです。奥にあるのはワニのミイラ。そして手前にあるのは、包帯を巻かれたワニのぬいぐるみ♡ 「こやってね巻いてんのよ〜」っていう視覚的に分かりやすいだけではなく、このユーモアがステキ!
初めて知った古代ローマのこと
古代ローマのエリアへ。同じようなポージングのトラさんが2匹。現代アートとのコラボ?かと思いきや…
実はこれ、本来はこんな色だったのだとか!
それを復元したものが下のカラフルなトラ。確かに色が少し残っているところがあるんです。古代ギリシャってこんなにカラフルだったの!っとびっくり。
現代アートと間違えたのは、こっちが現代アートだからw
感動した印象派の作品とは
一番新しいウイングに向かいます。
1996年に増築されたデンマークの建築家・ヘニング・ラーセンによるモダンな建築。全く違う雰囲気が味わえます
そこに展示されているのは、印象派の作品たち。
一番感動したのは、このゴッホ。
半個室のような部屋の壁にはこの絵だけが掛けられています。絵の前に立つと、背後からフワッと風が吹く麦畑に立っているような感覚に。
放射線状に描かれた空と地平線と、風にたなびく麦の穂。ゴッホは無心に描いたのかもしれませんが、この構図によって絵に吸い込まれます。なんか今もあの感覚を思い出すと、泣けてくる…。
セザンヌや…
大好きなドガも。オルセー美術館にもある「踊り子」の彫刻はここにもありますw 世界にいくつあるのでしょうかね?(←後日追加:38体あるそうですw)
もちろん作品の好みは人それぞれではありますが、この美術館には他とは違う、心を満たしてくれる誘い、知的好奇心への誘いがあります。
それは押し付けでもなんでもなくて、そっと手を差し伸べているかのよう。アートに関心を持ってもらうための工夫があちこちにあるんです。今はどんな工夫をしているのか、またぜひ訪れてみたい美術館です。
オススメ度:★★★★★!
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